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雄峰岩手山の秋




  山の仲間「昴山の会」の面々と共に東北は岩手三山(岩手山、姫神山、早池峰山)にやって来た。大阪〜仙台〜一関と高速バスを 

 乗り継ぎ13時間半の長道中でした。東北へ足を運ぶのは初めてである。若いころに感動した宮澤賢治の童話や詩に出てくる東北の 

 自然に、いつかは出会いたいと心の隅っこでずっと願っていた。

  又、2002年の正月ドラマでは、浅田次郎作「壬生義士伝」で渡辺謙が演じた主人公の吉村貫一朗は南部盛岡を「南は遠くに早池 

 峰山。・・・北のお山は岩手山、姫神山。ぐるりと高い山々に囲まれて城下を流れる中津川。桜の木の下で北上川と合流いたしやす。 

 こったら絵にかいたような美しい所はこの日の本には二つとなござんす。」と激賞して語るのがとても印象に残っていた。こんな 

 過去の心象風景があって、いつかは東北へとの思いが今回仲間の企画によりやっと実現できた次第だ。

  一関では、かって大阪で働いていてメンバーのマラソン仲間であり、今はこの地で婿入りしているNさんが出迎えてくれていた。 

   今回の山旅に最後まで同行いしていただき、大変なお世話をいただいた。まずはこの場にて感謝の意を伝えたい。 

 幸い懸念されていた台風19号も足早に東の海上へ去り天候の回復も期待できそうだ。

(撮影日2012年10月7日)


焼走りコース登山口(7:40)−第二噴出口跡(9:15)−ツルハシ(10:16)−平笠不動避難小屋(11:16)−頂上(12:15)−登山口下山(15:48)



 今回私たちは北東山麓の焼走りコースを選んだ。このコースは何と言っても登山口まで広がる広大な熔岩流だ。江戸時代(1731年)

に噴火して流れ出た熔岩流は麓まで広大な熔岩台地を形成している。登山口から直ぐに東側に広がり道はこの熔岩流を避けるように

巻いていく。しかもこの熔岩台地は280年過ぎてもなお、樹木は何も育っていない。これを見た賢治は「・・・ここは空気も深い淵になっ

てゐてごく強力な鬼神たちの棲みかだ一ぴきの鳥さえも見えない・・・」(詩集春と修羅の鎔岩流から)と言わしめている。さて、いよいよ

私たちは標高差1468Mの頂上を目指して、黄葉にはまだ早いミズナラの林を黒い鬼神の館をチラチラ伺いながらそろそろと登り始

   めたのです。




 登山口は焼走り国際交流村の正面左にある



 道は歩き易い黒い火山灰の砂礫から始まった
       何故か大きな樹木はミズナラばかりだ


 左手の道横には直ぐに黒々と熔岩流の岩魂が迫っていた
   森との境目にはホソエカエデと思われる紅葉があり


 ムシカリも鮮やかな赤い実を着けていた



 1時間半も歩くと第二噴出口に着いた



 さしたる大きさでもないこの噴出口から赤々と熔岩流が流れ出た



 裾野に広がった熔岩流が黒々と横たわる
           左上方には国際交流村


 第二噴出口から10分足らずで、第一噴出口付近に取付く



 途中出会った手裏剣のようなヒロハツリバナの赤い実



 そして、更に高度が高まりナナカマドも鮮やかな秋色



 白杭の長い斜面を砂礫を踏みしめひたすら登る


 夏の名残りコマクサが一人淋しく咲いていた。突然「THE LAST
 ROSE OF SUMMER」(日本名「夏の千草」)の曲調が頭をよぎる


 斜面を越えると上坊コースとの合流点ツルハシに到着



 この辺は見事なダケカンバが多く見られる



 ツルハシから1時間も行くと平笠不動避難小屋に着く
    頂上は近い、にわかに天候も回復基調にある


 小屋の背後は巨大な岩屋根が小屋を守っている




 好運だ。避難小屋から最後の登坂にかかると
     次第に雲が消え、屏風尾根が見え始めた


 中腹から平笠不動避難小屋の周辺も絵のように見える

<拡大画像>



 西岩手山の巨大なカルデラに見える御苗代湖、左稜線は鬼ヶ城



 最高峰東岩手山の火口お釜に、いよいよ躍り出た



 岩手山頂上は薬師岳とも呼ばれ、目の前だ



 ピークです。本日の山遊者5人。往路4時間35分



 山頂から御苗代湖、屏風尾根方面



   雄大な屏風尾根を望む<拡大画像>



 さすがに頂上を吹き渡る風は寒く、平笠不動前まで
   下山し昼食とする。ここから見る頂上は綺麗な円錐型だ


 下山途中で見えた姫神山、伝説では岩手山の奥さんだそうだ



 下山終了です。駐車場から岩手山の頂上がきれいに見えています



 往路4時間35分、復路3時間33分で、計8時間8分の山旅でした
          素晴らしかった登山経路です

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